
老親が退院後、家族の介護を受けながら自宅で生活することになったら、準備しておくことをまとめています。
もくじ
親の住民票を移す
子どもなど、家族の家に親を呼び寄せて介護することになったときは、親の住民票を転居先に移しておきましょう。
介護サービスは地元密着型であるものが多いので、そのほうが手続きなどもスムーズに行えます。
転出・転入の手続きは自治体によって違うことがあるので、役所に足を運ぶ前に電話で確認しましょう。

前の住所で受けた介護認定は、新しい住所で引き継がれます。
介護認定を受ける
ホームヘルパーやデイケアなどの介護サービスを利用したり、家をバリアフリーにしたりするのに介護保険のサービス(※)を受けるには「介護認定」を受けている必要があります。

介護保険料は、今まできちんと納めているけど…?

健康保険のように「介護保険を払ってきている」「介護保険証を持っている」だけでは補助が受けられないのが介護保険サービスです。
生活にどれぐらいの助けが必要なのかを審査してもらい 介護認定を受けたあとにケアプランを作ってもらうことで、はじめて補助を受けることができる ようになります。
入院中でも介護認定の審査を受けることはできます。
審査を受けるタイミングについては主治医や医療相談室のスタッフと相談しながら、申し込みをすると良いでしょう。
介護サービスを受けられるようになるまでの流れ
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介護認定が決定
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ケアマネジャーを紹介してもらう
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お世話になるケアマネジャーを決め、その事業所と契約する
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ケアマネジャーにケアプラン(介護計画)を作ってもらう
介護認定が決定したら、市区町村の役場か地域包括支援センターで、ケアマネジャーを紹介してもらいます。

ケアマネジャーは今後の介護について協力してもらう大切なパートナー。
何人かピックアップして実際に面談してみてから決めましょう。
ケアマネジャーは状況に合わせてケアプラン(介護計画書)を作ってくれますが、その計画書の中に利用したいサービスを組み込んでもらうことで、介護保険サービスを利用できるようになるのです。
自宅の改修をする
今までの住宅では生活や介護がしにくいようなら、リフォームを検討します。
要介護1以上の介護認定されていれば、改修費用の1割または2割の費用で行うことができます。(特に所得の高い人は3割)
介護保険の自己負担割合
介護保険の自己負担割合は所得で決まります。
住宅一軒につき、介護保険サービス利用の上限は20万円、夫婦両方なら40万円。(注:自分が支払う金額ではなく、介護保険から支給される金額)。

まず自分でリフォーム代金を全額支払って、後から申請すると補助金が支給されるしくみです。
介護保険の補助を受けてリフォームをするときは、必ず事前に地域包括センターか担当ケアマネジャーに相談しましょう。

リフォームも介護保険サービスの一つなので、ケアマネジャーと相談する必要があるんですね。
また、「どの内容が適切か」や「ふさわしい寸法」などについて理学療法士など専門家の意見も聞いておくと安心です。
介護保険の補助が受けられるリフォームの内容は次のようなことです。
介護保険の補助が受けられるリフォームの種類
(1)手すりの取付け
- 廊下、便所、浴室、玄関等で転倒予防や移動、移乗等の動作を助けることを目的として取り付けます。
- 手すりの形状は、二段式、縦付け、横付け等があります。
(2)段差の解消
- 居室、廊下、便所、浴室、玄関等の室間の床の段差、玄関から道路までの通路等の段差または傾斜を解消する工事です。
- 具体的には、敷居を低くする工事、スロープを設置する工事、浴室の床のかさ上げ等が想定されます。
(3)滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
- 居室での畳敷きからフローリングやビニールへの床材等の変更、浴室においては滑りにくいものへの変更等になります。
(4)引き戸等への扉の取替え
- 開き戸を引き戸や折り戸、アコーディオンカーテン等に取り替えるといった扉全体の変更のほか、ドアノブの変更、戸車の設置なども含まれます。
(5)洋式便器等への便器の取替え
- 和式便器から洋式便器への取り替え等が想定されます。
(6)その他上記の住宅改修に付帯する工事
- 手すり取付けのための壁の下地補強
- 浴室の床段差解消に伴う給排水設備工事
- 床材変更のための下地の補修、根太の補強
- 扉を取替えるための壁または柱の改修工事
- 便器を取替えるための給排水設置工事(水洗化または簡易水洗化に係るものを除く。)や床材変更 ほか
介護用品を用意する
車いすや介護ベッドなどの介護用品が必要になる場合は、退院当日から利用できるように用意しておきます。
介護用品を利用するには「レンタル」「購入」の方法がありますが、介護保険の補助が受けられる用品の種類は、「レンタル」と「購入」で区別されています。
介護用品を利用するときの自己負担の割合は用品によって決まっており、また、要介護度や身体状態によっても違います。
購入の場合、介護保険の利用限度額は年間10万円です。 (注:自分で支払う額でなく、介護保険から支給される金額です
利用するときには、まず地域包括センターやケアマネジャーに相談しましょう。
要介護度が低く基準に届かないときも例外措置を取ってもらえることがあります。あきらめずに問い合わせてみましょう。

このとき、きちんと使い方をアドバイスしてくれるレンタル・販売業者も教えてもらいましょう。
介護認定が間に合わないけれど、介護用品を使いたいとき
介護認定が決まるより早く介護用品が必要となったときなどは、近くの社会福祉協議会に問い合わせてみましょう。
車椅子や電動ベッドなどを、無料または格安の費用で借りられることがあります。
社会福祉協議会は全国社会福祉協議会のウェブサイトで探すことができます。
在宅介護サービスを調べておく
「在宅介護サービス」とは、在宅で介護をしている人が利用できるサービスのことで、次のような内容のものがあります。
住んでいる地域にはどんなサービスがあるか調べたり、ケアマネジャーと相談しておきましょう。
- 訪問介護(ヘルパー)
- 訪問入浴介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導
- 夜間対応型訪問介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 通所介護(デイサービス)
- 通所リハビリテーション(デイケア)
- 認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)
- 短期入所生活介護
- 短期入所療養介護
※どちらも「ショートステイ」と呼ばれています。
このほか、訪問や短期滞在を組み合わせたものや、この記事でも説明している介護用品や住宅リフォームも在宅介護サービスのひとつです。
在宅医療(在宅療養)の態勢をつくる
在宅医療(在宅療養)とは、通院が難しい患者のために医師が定期的に往診をしてくれることです。

「お金が多くかかるんでは?」と思いがちですが、高額医療費の対象にもなっているので、在宅医療にも補助が受けられます。
在宅医療は病気だけではなく、歯科医やリハビリなどにもあります。内容については、市川市の自治体パンフレットが参考になります。
市川市「在宅療養パンフレット」
費用の例は、「飯塚病院」のサイトで具体例を知ることができます。
飯塚病院HP「在宅医療について」
在宅医療を受けるには、対応している医療機関を探すことが必要です。
退院後に介護と医療が必要になる場合で在宅医療を希望する場合は、医療相談室や主治医に相談してみましょう。

「鎌倉市 在宅医療」「伏見区 在宅医療」のように 「(地域名) 在宅医療」で検索 することでも、対応している医療機関を探すことができます。